法人化したら税金・社会保険はどう変わる?個人事業主が本気で調べてみた

※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
「法人化すると節税できるらしい。」
個人事業主を長くやっていると、一度くらいはこの言葉を聞きます。
私も聞いたことがあります。
節税。
なんとも魅力的な二文字です。
「会社にしたら税金が安くなるなら、そりゃ法人にした方がええやん」
くらいに思っていました。
ところが、ちゃんと調べ始めると話はそんなに簡単ではありませんでした。
- 法人税
- 役員報酬
- 社会保険
- 厚生年金
- 法人住民税
- 消費税
……節税の話を調べていたはずなのに、気がつけば支払うものの名前がどんどん増えてきます。
税金だけじゃなく、社会保険まで団体でやってきました。
そこで今回は、
「結局、個人事業主が法人化すると税金や社会保険はどう変わるのか?」
を、自分自身の法人化検討のために整理してみました。
私は税理士・社会保険労務士ではありません。この記事は、個人事業主である筆者が公開情報をもとに、自分自身の法人化検討のために調べた内容をまとめたものです。
同じように、
「法人化が気になるけど、税金の話が出た瞬間に眠くなる」
という方にも、できるだけ分かりやすく読んでもらえればと思います。
まず大前提。個人事業主と法人では「財布」が違う
ここが最初の重要ポイントでした。
個人事業主の場合、事業で稼いだ利益は基本的に自分の所得です。
経費を引いて残った所得に対して、所得税や住民税などがかかります。
一方、法人化すると、
会社と自分は別人扱いになります。
もちろん会社が本当に歩いてくるわけではありません。
でも法律や税金の世界では、
「会社のお金は会社のお金」
「あなたのお金はあなたのお金」
と分けて考えます。
会社が利益を出せば法人税などがかかり、
自分が会社から役員報酬をもらえば、その役員報酬に対して個人の所得税や住民税がかかります。
個人事業主のときのように、
「今月ちょっと苦しいから事業口座から生活費を……」
という感覚では扱えなくなります。
法人化すると、まず会社と自分の財布をきっちり分ける必要があるわけです。
個人事業主は、利益が増えるほど所得税率も上がる
個人の所得税は累進課税です。
所得が増えるにつれて、税率も段階的に高くなります。
所得税率は5%から45%まであります。
つまり、仕事を頑張って利益が増えると、
「おお、今年は頑張った!」となる一方で、
税金側も、
「おお、今年は頑張りましたね」とやってきます。
もちろん所得全部に最高税率がかかるわけではなく、段階的に税率が上がる仕組みです。
それでも、利益が大きくなるほど個人事業主の税負担が増えていくため、
「ある程度利益が出るようになったら法人化を検討する」
と言われる理由の一つになっています。
ただし、ここで大事なのは売上ではなく利益です。
売上1,000万円あっても経費が900万円なら、利益は100万円。
売上600万円でも経費が100万円なら、利益は500万円。
「売上〇〇万円になったら法人化!」
と単純に決められないのは、このためです。
法人化したら法人税。これで安くなる……と思ったら
法人になると、会社の利益には法人税などがかかります。
中小法人には、一定の所得部分について軽減された税率が適用される仕組みもあります。
ここだけを見ると、
「やっぱり法人の方がお得なんじゃない?」
と思いたくなります。
しかし、法人には法人税だけではありません。
- 法人税
- 地方法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
名前からして、もう一人で来る気はないようです。
さらに会社から自分に役員報酬を払えば、今度は自分個人に所得税や住民税がかかります。
つまり法人化すると、
会社の税金と、自分の税金の両方を考える必要があります。
「法人税率だけ比較して法人化すれば節税!」というほど単純な話ではありませんでした。
「自分の会社だから給料は自由」は通用しなかった
法人化すると、自分が会社から受け取るお金として「役員報酬」が登場します。
個人事業主なら、自分の事業で稼いだお金から生活費を取ること自体は比較的自由です。
ところが会社になると、会社のお金は会社のお金です。
そこで自分に役員報酬を払います。
私は最初、
「自分の会社なんだから、自分の給料くらい好きに決めればええやん」と思いました。
しかし税務上は、そんな自由人を簡単には許してくれません。
会社の経費として認めてもらう役員給与にはルールがあります。
一般的な一人会社では、毎月一定額を支給する「定期同額給与」にするケースが多くなります。
例えば、
- 1月は30万円
- 2月も30万円
- 3月も30万円
という形です。
「今月めっちゃ売上あったから俺、50万円!」
「来月暇だったから10万円!」
というノリではいきません。
そのため法人化では、
役員報酬をいくらにするか
がかなり重要になります。
高くすれば自分側の税金や社会保険料が増える。
低くすれば会社側に利益が多く残る。
何とも絶妙なさじ加減が必要です。
法人化したら節税?と思ったら社会保険もこんにちは
そして今回、私が一番「おお……」と思ったのが社会保険です。
法人事業所は、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。
ここで、
「いやいや、俺一人の会社だから関係ないでしょ」
と思いますよね。
私もそう思いました。
ところが代表者一人の会社でも、会社から役員報酬を受け取るなど一定の条件を満たせば、社会保険への加入対象になります。
つまり、
従業員ゼロ、社長俺一人。それでも社会保険はやってくる。
個人事業主のときに国民健康保険と国民年金だった人が法人化すると、健康保険と厚生年金へ移るケースが一般的です。
法人化を考えるなら、この負担はかなり重要です。
「5人未満なら社会保険いらないんじゃないの?」は法人では別の話
これも混乱しやすいところです。
「従業員が5人未満なら社会保険に入らなくてもいい」という話を聞いたことがある方もいると思います。
しかし、これは主に一定の個人事業所についての話です。
法人は基本的に別です。
株式会社でも合同会社でも、一人会社だから自動的に社会保険不要ということではありません。
ここを知らずに、
「会社にしたら税金安くなるぞ!」
と法人化してから、
「あれ?毎月の固定費増えてない?」
となるのは避けたいところです。
社会保険料は自分だけじゃなく会社も払う
社会保険料は、本人負担分だけではありません。
健康保険や厚生年金の保険料は、原則として会社と本人の双方が負担します。
例えば役員報酬を月30万円にしたとしても、
会社側から見ると、
「30万円払えば終わり」
ではありません。
会社負担分の社会保険料も必要です。
小規模事業者にとって、これはかなり大きい。
大企業なら経理部の誰かが計算してくれるのでしょう。
こちらは、
社長=営業=制作=経理=雑用係
という会社になる可能性があります。
そしてその社長が、
「今月あといくら残っとるんじゃ?」
と電卓を叩くわけです。
法人化するときは、役員報酬だけでなく社会保険料の会社負担分まで含めて資金計画を考える必要があります。
でも厚生年金は「ただ取られるお金」でもない
ここまで書くと、
「法人化、金かかることばっかりやん」となります。
でも社会保険については、支出だけを見るのも違います。
国民年金から厚生年金へ変われば、将来受け取る年金額が増える可能性があります。
健康保険にも、国民健康保険とは異なる給付制度があります。
つまり社会保険は、
毎月の負担は増えるけれど、保障も変わるという話です。
法人化を考えるなら、
「毎月いくら取られる?」だけでなく、
「何の保障が増える?」までセットで考えた方がよさそうです。
法人化すれば消費税が2年間ゼロ?そんな簡単ではなかった
法人化を調べると、
「法人を作れば消費税が2年間免税になる」
という話も見かけます。
これは注意が必要です。
個人事業主と新しく作った法人は別の事業者なので、消費税の判定も基本的には別になります。
ただし、
- 新設法人に関するルール
- 特定期間の判定
- 資本金などの条件
- インボイス登録
などによって状況は変わります。
特にインボイス制度があります。
「会社を作れば無条件で2年間、消費税ゼロ!」
と思って計画を立てるのは危険です。
税金の世界では、
「絶対」「必ず」「誰でも」という言葉を見たら、一度疑った方がいいのかもしれません。
赤字でも払う税金がある。法人、なかなか手ごわい
さらに法人には、
赤字でも発生する税金があります。
代表的なのが法人住民税の均等割です。
利益が出ていなくても、法人として存在していれば一定の負担が発生します。
これは小規模事業者には結構重要です。
- 売上が少ない月
- 仕事が途切れた月
「今月ほんまに暇じゃな……」
という時でも、会社そのものの維持費は発生します。
法人化すると、
- 社会保険
- 法人住民税
- 会計ソフト
- 場合によっては税理士費用
- 登記関係
など、個人事業主より固定費が増える可能性があります。
なので、
「法人化すれば節税になるらしい!」だけで飛びつくと、
節税したかったのに固定費が増えたという、ちょっと笑えない展開もあり得ます。
それでも法人化を考える理由は「税金」だけじゃない
ここまで読むと、
「じゃあ個人事業主のままでええやん」となりそうです。
でも法人化には、税金以外のメリットもあります。
- 企業との取引
- 法人名義での契約
- 採用
- 資金調達
- 事業承継
- 対外的な信用
特に企業を相手に仕事をする場合、
法人であることが取引のしやすさにつながることもあります。
私自身も、
「税金だけなら急いで法人化する必要はないのかな」と思う一方で、
これから事業をどうしていきたいかを考えると、法人化にはやはり興味があります。
つまり、
法人化は節税テクニックではなく、事業の形を変える話なんだと思います。
結局、売上いくらになったら法人化すればいいの?
そして最終的にここへ戻ってきます。
「で、結局いくら稼いだら法人にしたらええん?」
これが知りたい。
私も知りたいです。
ネットを見ると、
「売上1,000万円」
「利益500万円」
「利益800万円」
など、いろんな数字が出てきます。
ただ、今回調べて感じたのは、
売上だけでは決められないということです。
例えば、
売上800万円、利益100万円。
売上600万円、利益400万円。
この2人では、法人化を検討する条件がまったく違います。
さらに、
- 社会保険料
- 家族構成
- 役員報酬
- 消費税
- 今後の売上見込み
- 取引先
- 融資の必要性
なども関係します。
だから、
「売上〇〇万円を超えたら自動的に法人化」ではなく、
利益が安定して残るようになったら一度試算するというのが現実的だと思います。
PR|会社設立の準備を無料で始めたい方へ
ここまで調べて、
「それでも法人化を具体的に考えてみよう」と思った方もいるかもしれません。
実際に会社を作るとなると、
- 会社名
- 所在地
- 事業目的
- 資本金
- 定款
- 登記書類
など、決めることが増えます。
小規模事業者の場合、
「法人化専門部署」など当然ありません。
担当者は自分です。
そんなときは、会社設立に必要な手続きを整理できる無料サービスを使う方法もあります。
弥生では、画面に沿って必要事項を入力しながら、会社設立に必要な書類の準備を進められるサービスがあります。
「今すぐ会社を作る」と決めていなくても、どんな準備が必要なのかを確認しておくだけでも、法人化が少し現実的に見えてくると思います。
次は「結局、いくらから法人化?」を本気で調べる
ここまで、
株式会社か合同会社か。
自己破産経験があっても会社を作れるのか。
法人化すると税金・社会保険はどうなるのか。
と調べてきました。
そして次に知りたいのは、
結局、自分はいつ法人化すればいいのか?です。
- 売上なのか
- 利益なのか
- 節税なのか
- 信用なのか
次の記事では、
「売上いくらから法人化を考えるべき?」
について、具体的な数字を使いながら調べてみたいと思います。
【次の記事 ↓】
売上いくらから法人化を考えるべき?個人事業主が判断基準を本気で調べてみた
まとめ|法人化は「節税できるらしい」で決めるには重すぎる
今回調べてみて、
法人化に対するイメージはかなり変わりました。
最初は、
「法人にしたら節税できるんでしょ?」くらいでした。
でも実際には、
- 会社と個人のお金を分ける
- 役員報酬を決める
- 社会保険に加入する
- 法人として税金を払う
- 赤字でも一定の税負担がある
- 会社の維持費も増える
なかなか盛りだくさんです。
でも一方で、
- 厚生年金
- 企業との信用
- 法人名義での契約
- 採用
- 事業拡大
など、個人事業主にはないメリットもあります。
だから法人化は、
「得か損か」だけで決める話ではないのでしょう。
自分がこれからどんな仕事をしたいのか。
どこまで事業を大きくしたいのか。
毎月どのくらい利益を残せるのか。
そこまで考えたうえで決める必要があります。
私自身、まだ答えは出ていません。
ただ、
「よく分からんから法人化しない」より、
「ちゃんと知ったうえで、今はしない」の方がずっといいと思っています。
そして条件が変われば、そのときまた考えればいい。
私たち小規模事業者は、大企業みたいに経理部も法務部もありません。
分からないことは、自分で一つずつ調べるしかありません。
まあ、それを全部一人でやっているから「小規模事業者」なのかもしれませんが。
この記事が、同じように、
「法人化、なんとなく気になるんよな」
と思っている方の判断材料になればうれしいです。
※この記事は2026年9月時点の公開情報をもとに整理しています。
税制や社会保険制度は変更される場合があります。
実際に法人化する際は、国税庁、日本年金機構、自治体などの最新情報をご確認ください。
税務や社会保険について個別の判断が必要な場合は、税理士・社会保険労務士等の専門家へご相談ください。
ABOUT THIS ARTICLE
この記事を書いた人
ma+(エムエープラス)
代表・三好 進
Web制作、LINE構築、小規模事業者向けのWeb活用支援などを行っています。
ホームページを「作って終わり」にせず、集客や業務効率化につながる活用方法を、できるだけ分かりやすく発信しています。
Web制作やLINE構築、Web活用についてお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。


